〜 3 〜
あ〜。やってもぅた。。。。。
まさかここに来て怪我をするとは正直思っていなかった。
毎回、舞台は真剣そのもの。
もちろん気を抜いたつもりはないし、実際気が抜けていて起こった事故、怪我ではない。
ただ、弾みでいつもより高くジャンプしてしまって、バチでたたくところを親指でたたいてしまったのだ。
そして―――――――――爪がはがれた。
あぁ。。。。
これからも舞台は続くし、もちろんレギュラーの仕事もある。
そこではギターも弾かなければいけないし、何より全ての仕事を全力で尽くせないことが
もどかしくて、申し訳なくてしかたがない。
もちろん、こうなった以上は、この状況で出来る限りのことはするし、
内容を変更することも無く最善のモノをみせるつもりでもある。
ただ、この長丁場の舞台。
共演者にも怪我や疲れが見えてきて、それでも皆、文句を言わずに頑張っているのに、
ここで自分の怪我により心配をかけてしまったことが申し訳なくて仕方ない。
もちろん、起こってしまった出来事を悔やんでもしょうがないし、全力を尽くし、
変わらぬ舞台を、これから見に来てくれる方にも見せるしかない。
痛みがないといえばウソになる。
もっと、できるのに、もっと踏ん張れるのに。
怪我さえなければ…。
なんて少し、いや、かなり悔しくもなる。
でも、これだけはしょうがない。
頑張るしかないのだ。
もちろんこれ以上周りに心配をかけるわけにもいかないし、とにかく残りの公演を無事、全力で走り抜けたい。
そんなことを考えていた。
翌日、楽屋に入って、出来るだけいつもと変わらぬ朝を迎える。
シャワーを浴びて、準備して。
ただ、一ついつもと違うことは、テーピングを巻くこと。
肌色のテーピング。
幾重にも、幾重にも。
このテーピングに全てが…というと大げさだけど、掛かっているのかと思うと、つい慎重になってしまう。
もし、リボンフライングの途中で痛みが走ったら。。。
そんな不安もふと頭を掠めたが、そんなことを言っていてもしかたがない。
トレーナーの先生を信じよう。
こうして、幕は開いた。